英オックスフォード大学と米イェール大学の共同研究によれば、今から45年後にはAI (人口知能)が人間のタスク処理能力を上回る可能性が高いことが明らかになった。また、同研究によると、AIの翻訳能力は2024年度には人間を上回り、目覚ましい自動運転の進歩により、2027年にはトラック運転手の仕事がAIによって代替され、興味深いことに、2049年にはAIが「ベストセラー本」を執筆できるようになるとさえ述べている。
機械学習研究で有名なオックスフォード大学のマイケルオズボーン氏の研究「The Future of Employment (雇用の未来)」はアメリカの職業分類に基づいて、702の職種を対象にし、将来、AIに代替される可能性を統計学的に分析している。この研究の結果、米国では10年から20年の間に労働者の47%がAIによって代替される可能性が70%以上であると試算している。以下がその中でも、AIによる代替リスクの高い職業である。裁縫や時計修理など手作業を伴う職業だけでなく、保険業におけるアンダーライティング (引受)や会計・監査などいわゆる高いレベルの知的労働でさえも100%に近い確率でAIに代替されると試算されていることがわかる。
人事・HRはどうだろうか。オズボーン氏の予想によれば、HRマネージャーに関しては代替可能性「5.5%」と見通しを立てている。
また、英HR magazine社の記事 (HR: Will a robot take your job?) ではオズボーン氏の研究をHR視点で解説している。HR magazine社は、HR・人事の職種全体でいえば25%程度の確率で代替されるとの見通しを立てている。そもそもオズボーン氏の試算に影響を与えるファクターとして9つのスキル(社会的洞察力・交渉力・説得性・他社への協力、思いやり・独創性・芸術的技術・手先の器用さそして狭い空間での作業能力) が挙げられている。
Guild of Human Resource ProfessionalsのHRディレクターであるRobert Potter氏によれば、「HR職にはタレントマネジメントやリーダーシップマネジメント、サクセッションプランそしてカルチュラルマネジメントなどのスキルが求められるため、AIには代替されにくい要素が盛りだくさんである」とのことである。確かに、HRアドミンや給与計算など、上記の9つのスキルを要さない部分もあり、HRの中でも淘汰され得る機能は存在する。しかし、組織的文化のマネジメントやこれらがビジネスと一体となっているか、いわばトップと現場のすり合わせをAIが行える可能性は極めて低い。とりわけ、HRの戦略的機能の重要性は今後も変化しないとの見立てである。
AIの代替可能性とはあくまでも「予測」であり、すべてが試算通りに動くわけではない。しかし、将来的に、AIによって機械化される領域が拡大することは確実であり、人生100年時代を歩む我々はこういった可能性について考える必要がある。ベストセラー「ライフシフト」でも有名なロンドン大学ビジネススクール教授のリンダグラットン氏も今後我々のキャリアは「マルチステージ化」し、高齢化の影響を最も受けている日本はまさに今この問題に直面していると述べている。
「人生100年時代」の中では、働き方や雇用の在り方は非常に重要な議論となる。100年生きるためには75歳から80歳まで働く必要があり、組織の中でこういった問題について議論の中心となるエージェントはまさにHRである。しかし、日本において戦略HRの関心度はまだまだ低く、学問的にも、実践的にも発展途上である。高等教育機関でHRに関する専門過程が存在しないことや執筆論文・研究数が圧倒的に少ないことそしてHR全体に割く企業の予算を見れば明らかである。
このような中で、英国CIPD (人事資格付与団体)の認定資格は卓越したスキルを我々に授けてくれる非常に価値のある学位である。自宅にいながら、そして家族との時間を大切にしながら、リモート上でMBAや大学院の学位に匹敵する資格を取得することができるのである。CIPDの資格は欧州内でGAFAやNETFLIXなどユニコーン企業も採用や昇進時にベンチマークとしており、まさにリンダグラットン氏の述べる「Intangible Assets (無形の資産)」である。
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