2024年にHRリーダーが直面する9つの課題 ~Voice!for HRM Vol.105~

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こんにちは。コンサルティング&ソリューション事業部の田中です。弊社では、イギリスのICS Learn社と提携し、CIPD資格付与コースのお取り扱いをしています。

2024年になりました。今年もよろしくお願いいたします!今回は、CIPDが運営するPeople Managementというサイトから、寄稿者4人の予測を紹介いたします。


【目次】
1.未来を見据えた組織変革
2.AIスキルのアップ
3.労働力の高齢化
4.ジョブホッピング
5.アンラーニング
6.新興テクノロジーへの投資
7.独自の福利厚生プログラム
8.創造的な思考
9.EDI&B

1~5はCoachHubの行動科学者である、Mat Piaggi氏, sarah Henson氏, Rosie Evans-Krimme氏による予測です。

1.未来を見据えた組織改革

今後1年間、組織改革のペースはさらに加速し、企業が新たな課題に適応するにつれて優先順位も変化することになります。HRリーダーは、従業員にスキルアップの機会を提供する準備を整えておく必要があります。「AIが人間味の喪失に寄与するのではないか」という懸念がありますが、AIと人のサポートを組み合わせることにより、この懸念を払拭することができます。

2.AIスキルのアップ

AIは私たちの仕事や生活とますます密接に絡み合っています。CoachHubの調査では、34%がコーチングおよびL&DプログラムにAIを利用することが有効であると回答しています。職場におけるこの重要な変化に向けて、全員が訓練を受ける必要があります。組織は、スキルアップをL&D(Learning & Development:学習と能力開発)の優先事項の中心に据え、職場の全員がAIを効果的に使用できるようにする必要があります。

AIの人気は既に職場や従業員のスキルセットの変化に反映されており、2024年もAIのスキルアップへのフォーカスは継続すると考えられます。これはAIが職場に価値をもたらすだけでなく、個人にとっても自己のスキルにデジタルスキルを追加できるという利点があるためです。

3. 労働力の高齢化

現在、地球上には64歳以上の人の数が5歳未満の子供の数よりも多くなっています。(Hannah Ritchie, 2019) 企業にとって高齢労働者の重要性はますます高まっています。

リーダーは、高齢の従業員の定着を促すために、有意義なキャリアを設計する必要があります。企業は、年配の従業員の数十年の実務経験から恩恵を受けることができ、若い同僚の指導など、社内のスキルアップを彼らに頼ることができます。

4.ジョブホッピング

より良いワークライフバランスを求める、異なる価値観を求める、より楽しい従業員体験を求めるなど、転職の動機は様々です。イギリスの国家統計局の調査によると、ある役職に就く時間が短いほど、賃金の伸びが高くなる可能性が高いことが分かりました。(ただし、時給自体は、1年以上勤務している従業員の方が一貫して高くなります。)(Henry Moore, 2022)

ジョブホッピングはかつては危険信号でしたが、人々が自分に合った仕事を探すにつれて、標準的なものになりました。組織は従業員が仕事に充実感を感じられるようにすることにより、従業員の定着促進に積極的に貢献できます。

5.アンラーニング

アンラーニングとは、自分が知っているプロセスに疑問を持ち、そのプロセスが最も効率的な方法であるかどうかを判断することです。これは多くの場合、仕事の複雑さを軽減して、従業員が本当に重要なことに集中できるようにすることを意味します。

私たちは仕事中でも外でも、常に携帯電話から情報を受け取っています。一歩下がって職場のタスクの複雑さを軽減できると、感情的な負荷が減り、生産性が向上するため、落ち着きとコントロールの感覚を得ることができます。情報過多の時代においては、アンラーニングとシングルタスクの効率化が今後もますます普及していくでしょう。

6~9はHiBobの人事および文化ディレクターである、Toby Hough氏による予測です。

6.新興テクノロジーへの投資

自動化による効率の向上だけではなく、現代の分散した作業環境のギャップをテクノロジーを利用して埋める方法にも焦点が当てられています。

例えば、仮想現実(VR)と拡張現実は、単なる技術トレンドではなく、エンゲージメントを高め、一体感を生み出すためのツールです。リモートで作業している場合でも、世界中で作業している場合でも、複数のサイトにまたがって作業している場合でも、これらのテクノロジーは全てのチームメンバーが「素晴らしい仕事コミュニティの重要な一員である」と感じるのに役立ちます。

ウォルマートでは、VRを利用してトレーニングを刷新し、これまで8時間かかっていたトレーニングを15分に短縮しました。AIやVRツールのさらなる活用は、人事業務の重要な部分になるでしょう。

7.独自の福利厚生プログラム

従業員の健康に配慮することは、HR担当者にとって優先事項です。多くの企業は既に、柔軟な勤務方針、有給のメンタルヘルスデー、瞑想アプリへのアクセスなど、充実した福利厚生を強化しています。HiBobではBob Balance Days(会社全体が1日お休みになる日)、どこからでも働ける制度、ケータリングランチクラブ、ハッピーアワーなどを行っています。

2024年に向けて、従業員主導の福利厚生の取り組みを採用し、どこにいても誰もがサポートされ、大切にされていると感じられるようにする組織がさらに増えるでしょう。

8.創造的な思考

今日のグローバルにつながったビジネス環境では、従業員が仕事をどのように体験するかが非常に重要です。ポジティブなだけでなく魅力的な職場は、生産性だけでなく、最高の人材を維持するための磁石となります。採用と人材の維持は人事部門にとって依然として課題であり、これらは2024年も続くと予想されます。

学習と能力開発に重点が置かれることを予想し、HiBobの人事戦略では、精神的健康を促進する取り組みと並行して、従業員のキャリア成長をサポートする魅力的なテクノロジーを採用します。仕事で前向きな経験を示すことができる幸せな従業員は、強力な採用ツールになります。

また、ケータリングランチクラブやメンタルヘルスワークショップを通じて、オフィスに物理的にチームを集めると、つながりと満足感が高まります。

ただし、One-size-fits-allのアプローチはないことに注意が必要です。ある組織で機能するものが他の場所でも同じ影響を及ぼすとは限りません。

9.EDI&B

2024年には、Equality(平等)、Diversity(多様性)、inclusion(包含)、Belonging(帰属)がますます重視されるようになり、EDI&Bがビジネスの成功にとってより不可欠なものとなっているということが組織間で広く認識されるようになるでしょう。多様で包括的な職場は健全な文化を育むだけでなく、従業員のエンゲージメントと全体的な満足度を高め、組織の回復力と繁栄に寄与します。

EDI&Bが成長するには、明確なコミュニケーション、強力なリーダーシップ、給与やキャリア開発を超えた福利厚生を特定の層のニーズに合わせて調整する包括的な労働環境によってサポートされる必要があります。

CIPDは「Championing better work and working lives around the world」を理念に掲げ、仕事と労働環境を良くすることを目指しています。CIPD認定資格をオンラインで学べるICSLearnのプラットフォームでは、2024/1末までディスカウントを行っています。この機会にぜひご検討ください。

CIPD Level3 Foundation Certificate in People Practice:£1,999→£1,599(20%OFF)
CIPD Level5 Associate Diploma in People Management:£3,399→£2,549(25%OFF)
CIPD Level5 Associate Diploma in Organisational Learning & Development:£3,399→£2,549(25%OFF)
CIPD Level7 Advanced Diploma in Strategic People Management:£6,899→£4,999(28%OFF)
CIPD Level7 Advanced Diploma in Strategic Learning & Development:£6,899→£4,999(28%OFF)

参考

Hannah Ritchie (2019)
The world population is changing: For the first time there are more people over 64 than children younger than 5
https://ourworldindata.org/population-aged-65-outnumber-children
2024/1/5 閲覧

Henry Moore (2022)
Job changers and stayers, understanding earnings, UK: April 2012 to April 2021
https://www.ons.gov.uk/employmentandlabourmarket/peopleinwork/earningsandworkinghours/articles/jobchangersandstayersunderstandingearningsukapril2012toapril2021/april2012toapril2021
2024/1/5 閲覧

Mat Piaggi, Sarar Henson, Rosie Evans-Krimme and Toby Hough (2023)
Nine challenges HR leaders will face in 2024 – and how to handle them
https://www.peoplemanagement.co.uk/article/1850299/nine-challenges-hr-leaders-will-face-2024-%e2%80%93-handle
2024/1/5 閲覧