Change or Die–2022年に取り組むべき課題– ~Voice! for HRM Vol.76~

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https://www.peoplemanagement.co.uk/voices/comment/what-does-2022-hold-for-hr-functionより翻訳

次の12か月でHRはビジネス戦略との調和、マネージャー陣とのより緊密な協働そして人事データへのより詳細な把握が絶対不可欠であるとNoelle Murphy氏は述べる。

新型コロナウィルスの影響下でビジネス全体そして従業員を取り巻く環境は混沌と不確実性に満ち、HRリーダー達にとっては激動の18か月間であったと言える。最前線で働く従業員のサポートから突如リモートワーク体制で勤務を行うこととなった従業員のケアや一夜にして事業閉鎖に追いやられた人々のサポートなどHRは矢面に立って、ビジネスの急激な変化に対応してきた。

しかし、パンデミックによってこういった全ての課題に対してのHRの価値そして重要性が明らかとなり、その役割は進化・発展を続けるだろう。企業が「ニューノーマル」を切り開き、絶え間なく変化する従業員のニーズに対応しなければならない。HRは今後の職場・オフィスの再考と再形成をする上で、非常に重要な役割を担っている。

ハイブリッドへの移行

英国は、2020年3月にロックダウン (都市封鎖)に踏み切り、企業の多くが歴史上類を見ない超即興的在宅勤務実験を余儀なくされた。その結果、840万人に及ぶ労働者が在宅勤務を行うこととなった。

現在雇用者の多くは、働き方に関して最善の方法を模索している。労働者の大半がワークライフバランスの良さを享受していることもあり、パンデミック以前のような職場勤務に戻る可能性は非常に低いことが明らかとなっている。

AppleやGoogleそしてMicrosoftといった巨大な組織の多くがハイブリッドモデルを発表し、多くの労働者が以前にも増してアジャイル (機敏)でフレキシブルな働き方を期待していることもあり、こういったモデルが未来の仕事の姿になることはほぼ間違いない。

55歳以上の労働者と比較すると、2倍以上の35歳以下の若年層労働者がフレキシブルな働き方を望んでいることもあり、ハイブリッドな働き方は今後優秀な人財を惹きつけ、そしてリテンション(流出防止)する上で非常に重要である。いかなるビジネスの成功も組織の人財とZ世代の流入に大きく依存している。つまり、雇用者はこの世代にとって魅力的なワーキングカルチャー(労働文化)を提供しなければならない。また、若年労働者はよりフレキシブルな環境と機会を求めて、ジョブホップ (転職)を行うことも厭わないため、「いつでも・どこでも」働けるフレキシブルさの選択肢を提供することが不可欠なのである。

しかし適切なハイブリッドモデルを導入することはHRリーダーにとって綱渡り的なものになる。従業員のニーズを満たすことに関して、どんな場合でも通用するような万能な解決策はなく、HRは各マネージャーそしてリーダー陣が社内文化、コラボレーション、エンゲイジメント、従業員の身体的・精神的ウェルビーイングのメンテナンスに必要なスキルを持ち合わせているか確証しなければならない。

次の12か月でHRリーダー達は、定期的な双方向コミュニケーションを通じて、相互信頼を育むためにラインマネージャーやチームメンバーと緊密に働く必要がある。

在宅勤務を一定期間続けていると、オフィス復帰に悲観的な従業員が一定数生じるのはごく自然なことであり、企業にとっては難局となり得る。ラインマネージャーはなぜこういった悲観的な見方が生じるのかについて正しい洞察力を持ち、HRはこういった従業員の不安を軽減させるためにどのようなステップを踏むべきかを特定しなければならない。

同様に、在宅勤務を続けることができないまたはオフィス勤務を希望する従業員など組織全体としてのダイナミズムも慎重にケアする必要がある。

永続的なハイブリッド施策は従業員ライフサイクル (採用から退職までの雇用の中で経るサイクル)の全てのポイントに影響を与え、そして全ての従業員にとって公平なものでなければならない。HRは皆が不当に扱われていないことそして差別を受けていないことを確証しなければならない。

データのレバレッジ化

ビジネスリーダー達が「生き残り」から「回復と成長」に焦点を変えるに従い、社内HRがビジネス戦略とゴールに調和していることを常に確かめる必要がある。これを可能にするのがデータへの洞察である。

洞察力を高め、意思決定を促すためにデータを活用することはHRにとって不可欠である。しかし、採用やペイロール (給与計算)そしてHRデータベースが異なったいわゆる分散型システム故、HRは他部署に比べ、より多くの課題に直面してきた。

我々の研究結果によれば、80%以上の組織が公式のHRテクノロジー戦略を実施しているあるいは1年以内に導入予定がある一方で、データ分析への応用まで行っている企業は56%に留まっていることがわかった。しかし、変化する労働者のニーズを満たすためにHRリーダー達は今後、最適な意思決定を行うために、採用や、従業員退職率、従業員センチメント (感情)、生産性に至るまでのデータやトレンドを継続的に観察しなければならない。

これらを達成するための時間と資源を確保するためには、HR部門の仕事を行き詰まらせるチームに対し、ラインマネージャー陣がより多くの責任を負えるようにエンパワーメントを行う必要がある。次の12か月間でHR部門のフォーカスとなるのは、マネージャー陣が従業員のスキルを磨き、従業員の不平・不満や欠勤管理などの問題に対処できるように積極的かつ自立した存在になれるように適切なトレーニングとコーチングを行うことである。

また、専門的なスキルがデータドリブンなHR機能に適応していくことも非常に重要である。我々の調査によれば、約40%のHRリーダーが自身のテクノロジー能力に関して、基礎的なレベルにとどまっていると回答し、応用レベルと回答したHRリーダーはわずか11%であることがわかった。

ヒトのマネジメントスキルは変化を促し、従業員中心のビジネスを築く上で非常に重要な役割を果たすものの、統計分析やコマーシャルアウェアネス (商業的自覚/認識)スキルの重要性もかつてないほど増加するだろう。Cognizant社による調査によれば、今後10年で、HR部門の半分近く (10/21)の業務にデータースキルが要求されるようになるとのことである。

新型コロナウィルスの流行以来、この18か月間HRは危機的状況に置かれ、企業が不確実性を乗り越える支援を行ってきた。しかし、一連のパンデミックが収束した今、HRは戦略的パートナー (HRBP)として、価値の創造や生産性の向上そして競争優位性の確保に努めなければならない。

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HRやAI・DXの関連で、日本より遥かに上を行くアメリカやイギリスにおいてもHR領域におけるデータ活用は2022年の大きな課題となっています。これらに加え、生産性そして労働人口の少子高齢化など多くの人事課題を抱える日本企業は次の1年間で、働き方について再考しなければなりません。

先に述べた通り、リモートワークにせよハイブリッドにせよ、働き方に関する正解は存在しないため、企業のカルチャーや従業員の期待などに沿って「最適解」を模索していかなければなりません。この最適解を探るためには、従業員が経るライフサイクル一つ一つについて、制度・施策面の観察を行う必要があります。採用から退職までの制度一つ一つの効果検証なんてできるのでしょうか?….

弊社のコミュニケーション診断は、HRの専門家やデータアナリストそして社会言語学者がタッグを組んで、「企業コミュニケーションの特性分析」や「採用から退職に至る人事制度の効果検証」が行えるようになっております。

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-リモートワーク続けるべきか悩んでいる

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(D.S)