もう限界、いつまで続くテレワーク?~Voice!for HRM Vol.60 ~

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緊急事態宣言下で政府は「出社率7割減」を掲げ、テレワークの普及を促進してきました。我が国におけるワクチン接種率(一回目)は7月31日時点で38.43%となり、菅首相が目標としていた7月までに5割(参考:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/)には届かず、8月下旬までに6割の接種を終えるとの新たな目標を発表しました。

企業サイドでも、ワクチンの普及と共に徐々にオフィス勤務へ移行する動きが各地で見られ、どのように職場で従業員の安全確保をするかなどに焦点が当たってきました。例えば、Google社では出社する従業員のワクチン接種を義務化するなどドラスティックな施策で一躍話題となりました。「ワクチン義務化」問題は、欧州でも度々話題となり、強制することに対する法的な制約など考慮するべき点が散見されてきました。英国においても、とある企業がワクチンを接種しなければ仕事に就けない「ノージャブ、ノージョブ」契約を推し進め、その倫理的な問題性が取りざたされています。

未だ、副反応や妊婦への将来的な影響等の全貌が明らかになっていないため、ワクチン接種に対して抵抗のある若者も世界的に多く、強制することは現実的に難しいのが現状です。そのため、オフィス勤務復帰を掲げるGoogle社も出社は基本的に希望する者に限定し、在宅を希望する者には、今まで通り勤務体勢を続行させる意向を示しています。

2021年7月にペーパーロジック株式会社が行った「ワクチン接種定着後のテレワークに対する意識調査」では、回答者の9割以上が今後もテレワークを実施したいとの意向を示していたことが明らかになりました。ワクチンの普及を目処にオフィス勤務復帰を検討していた企業経営者にとっては大きな痛手となりました。しかし、テレワークを行うメリットは近年世界中で報告されています。例えば、エンゲイジメントの向上やワークライフバランスの実現、余分な出費の抑制そして幸せ度数の上昇など様々な要因が補完的に相互作用し、その結果として英国では雇用者の多くが「以前より組織の生産性が向上した」と報告していることが明らかになりました(CIPD, 2021)。

テレワークは一時しのぎの手段ではなく今後も重要な働き方として残り続けることは言うまでもありません。テレワークの選択肢を与えるか与えないかは、雇用者の判断に委ねられますが、Well-being経営の推進や女性社員の定着、優秀な人財の獲得を目指す企業にとっては必要不可欠な働き方になるでしょう。そのためにも、貴社のリモートワーク下におけるルールと習慣を構築することが重要です。チームミーティングや報告手段、1 on 1コミュニケーションの運用方法やルールを明確にし、全従業員への共有を行いましょう。

テレワークに関するコラムを毎週火曜日に更新していますので是非ご活用下さい。

(D.S)