近年、GAFAやnetflixなどアメリカを中心としたユニコーン企業の時価総額が上位を独占し、その経営手法や戦略に注目が集まってきました。中でも、このような企業のコーポレートカルチャーいわゆる企業文化は、オフィスや従業員の働き方、そして人事制度の中で徹底的に体現されています。
例えば、動画配信事業の多角化と究極のグローバル戦略を掲げるNetflix社では、こういったあるべき姿を実現するために自由闊達な働き方、戦略的なダイバーシティー・インクリュージョン採用、エンパワーメントを促進する様々な施策が実践されています。組織全体として、大きい世界のシェアを獲得するために言語や宗教、年齢、伝統にとらわれない人財確保と自由闊達な能力開発を促進するための究極の権限委譲など、制度先行型ではなく、組織の文化・あるべき姿に最適な制度、施策を戦略的に取り入れているのです。
企業風土と企業文化は頻繁に混同されがちですが、企業風土とは企業が創設された土地柄や歴史、創業者など不変的な意味合いが強いのに対し、文化とは環境や市場の変化などによってマイナーチェンジを繰り返す組織のあるべきスタンス、向かうべき方向を指します。この文化は人財によって体現されるためHR領域における最も重要な課題の一つといえます。
HRの父であるUlrichの提唱するHRモデル(下図参照:https://blog.mettl.com/managing-hr-roles-david-ulrich-model/ より)でもHRが担うべき重要な機能の1つとして取り上げられています。組織のあるべき姿に対して、採用や能力など市場や外部環境にキャッチアップできていないと、「時代遅れ」な組織になる可能性が高いため、HR部門が文化の変革を適宜促すべきだということです。
例えば、グローバルに市場を拡大させるという企業全体の方針とは裏腹に体育会採用やネポティズムなど均質的な人事制度が根付いている状態は文化の乖離であると言えます。
自社が掲げる方針に沿った人事戦略を行っているかを適宜確認することが重要です。
(D.S)