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3 Nov 2020 By Elisabeth Kelan
「人間がロボットに対抗していることを暗示するような言葉を避け、このような議論の中でどのようにジェンダーが特徴づけられるのかを考えなければならない」とElisabeth Kelanは述べる。人間vs機械という関係性は「未来の仕事」に関する本を開くと共通して議論されるテーマである。この比喩(人間対機械)は、世界を支配するロボットのイメージを想起させ、2001年の「スペースオデッセイ」や「ターミネーター」といった人気のカルチャーの中で卓越したテーマと共鳴する。Garry KasporovとIBMのDeep BlueのチェスマッチやDeepMindのAlphaGo プログラムとKie JieのGoマッチの描写に用いられている。明らかなのはこの関係性が敵対的であり、壮大な戦いであることである。
ソートリーダー(誰もが一目置くような影響力と存在感のある人物)はユートピアもしくはディストピア的観点から想像された未来について議論をするために人間vs 機械の関係性を用いる。ディストピア的見地は自動化・オートメーションパラダイムと関連づけられる。機械はやがて労働者に取って代わり、大量失業や深刻な経済的・社会的難題へとつながる。
ユートピア的見地では、機械と人間が共に働き、新しい形の仕事や反映につながるとしている。この見解はオーグメンテイション(増強的)パラダイムに分類され、そこでは機械が人間の能力を増強、またはその逆を行うという構造である。たいていのソートリーダーは未来の仕事に関してユートピアとディストピアの間のどこかに位置している。
こういった主流の議論のほとんどに欠乏しているのは未来の仕事は一体どのようにダイバーシティ、インクリュージョンそして特にジェンダーに影響を与えるのかということである。ジェンダーについて議論されると、話の話題はすぐにプログラマーやデータサイエンティストの間で女性が十分にいないことへと向かう。女性はこのように、新たなテクノロジーのデザインに寄与せず、未来志向の仕事に従事していない。また女性はケアなど自動化が難しい役割に大きな比率を占めていることも度々指摘されている。しかし、自動化がされやすいと考えられているアシスタント業務においても女性の占める割合は大きい。そのため職場におけるジェンダーの未来は明瞭ではない。人間vs機械的構造が暗示する「勝者と敗者」というシンプル論理は仕事の未来に関する複雑さを説明し切れていないようである。
ジェンダーは別の切り口でも語られる。機械は設計・結合上人間に似通っており、擬人化されたAIはジェンダー化されたAIを意味する。ロボットはガノノイドもしくはフェムボットとして女性の形を取ることもある。AIは多くの場合、実際の機械の色としてそして描写される民族性の観点でも白人(女性)として想起されることに注意するべきである。ジェンダーはAmazonのAlexaやAppleのSiriそしてMicrosoftのCortanaなどAIアシスタント音声の中でも明らかである。多くの場合、こういった音声はデフォルトで女性の設定となっている。このようバーチャルアシスタントに女性の声を用いることはサポーターやヘルパーとしての女性のイメージを想起させる。従ってこれを人間と機械の戦いと考えるのは非常に困難である。AIはジェンダー的属性を具現化しているのである。
したがって、疑問としては人間vs機械という比喩は仕事の未来について考えるときに上手く機能するかどうかである。おそらく、この呪縛から解放され代替案について考えるべきである。男性vs 機械 (man vs machine)ではなく人間vs 機械(human vs. machine)ということについて考えるべきである。しかしこれは依然として敵対関係を生み出している。その代わりに、機械に対抗しているのではなく人と機械の相互形成を認めるような言葉遣いを行うべきである。これによって未来も形成されるものであると想像できるようになる。
Covid-19パンデミックはデジタル化を加速させてきたと広く考えられている。仕事の未来についてそしてこれによってもたらされるものについて考える時期である。どのようにこれが想像され、そしてどのようにジェンダー、ダイバーシティそしてインクリュージョンがこういった議論の中で特徴づけられているのかは非常に重要である。未来がどのように想像されるかを分析することで未来がインクルーシブなものになるように是正措置を行うことが可能になるのである。
(D.S)
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