HRMの定義と役割
HRM とは何か? HRMの礎を築いた一人Storey (2007)によれば「文化的・構造的、人に関するテクニックを統合的に配置することによってコミットメントが高く、有能な労働者を戦略的に配備し、競争優位を勝ち取ろうとする雇用マネジメントに対するアプローチ」であると定義している。
HRMは組織という建造物を設計する役割を担っており、Recruitment/Selection(採用と専攻), Socialization(社会化) ,Induction (イントロ), Training (研修・トレーニング), Performance Appraisal (パフォーマンス評価), Reward (評価), Discipline (規律), Career Planning (キャリアプラン), Promotion (昇進), Exit (退職)まで多岐に渡る上に会社の最も重要な『ヒト』を管理する部署です。
建造物を建てる際にはどのような建物にしたいか、それに必要なパーツをどのように組み立て、耐震性を考慮し、どれくらいの所用期間が必要かをBlueprint(設計書)に落とし込むのが設計士の仕事です。HRの役割とはまさに組織という建造物にとっての設計士です。
私もコンサルタントとして、数々の会社のHRと仕事を行ってきましたが、概してHR施策に力を入れている、言い換えればHR部署にDelegate(権力移譲)を行なっている企業ほど、非常時(コロナウィルスのパンデミックなど)に組織としての連帯が取れ、ビジネスへの影響を最小限に抑えている印象です。
パートナー企業BではHRM部署への権限が強く、資格を有する従業員が経営へ積極的にInvolvement (参画)し、Lay-offやFurlough など社員にとって厳しい施策が実施されている現在でも、強固な信頼を集め効率的なコミュニケーションを促進することで従業員満足度また顧客満足度を上げることに成功しています。専門性のあるHRMにある程度の地位と独立性を与えることで、組織の全てである有能な「ヒト」を採用し、育て、ロイヤリティを高め、そこで初めてパフォーマンスが向上します。
(D.S)