英国でもっとも有名な HRM サイトから興味深い記事をご紹介します。
28 Oct 2020 By Ed Mayo
「多くの従業員が自宅勤務を行っているため、適切にチェックが行われていない場合、上司の知らないうちにいじめやハラスメントが即座にエスカレートする可能性がある」とEd Mayoは述べる。
不確実性と不安の渦の中での生活が早1年が経った。組織内文化が毒されていることをどのように知ることができるだろうか。
労働者は遠隔で働き、ビジネスは常にプレッシャーに晒されてきた。いかにして社内のカルチャーが毒されているかを知ることができるだろうか。
一部の企業では情報が遅すぎるケースがある。近年のUnicef UK、ジョッキークラブそして内務省での職場におけるいじめの多発は、事態が悪い方向に向かっていることを示している。誰もが物事を間違えることはあるが、一旦事が公の目にとまり、法廷に持ち込まれた場合、通常単一の突発的な事件ではなく、時間の経過とともに展開されるいじめのパターンの一つである。
組織内文化が毒されると、最も生産的な企業における従業員チームを特徴づける自発的な努力、すべての自主性が消えてしまうことになる。
信頼が薄れ、誠実さも影をひそめる。従業員も組織内で自分たちの意見を述べるのをやめる。
公式報告会は継続するものの単なるゲームと化すだろう。Harvard Business Reviewは、連続する企業スキャンダルによって従業員が特定の挑戦的なゴールに基づくパフォーマンスシステムを勝手に書き換え、システムがパフォーマンスを適切に評価できなくなる可能性があると論じている。役員勢はまずそもそも企業内文化について議論を行うことが無く、従業員にとってはごく当たり前のことであっても、事が明るみに出ると驚きを示す。
社内文化が危険な方向に向かい始めた際に、誤った行動としてはルールブックを開くことである。無論ルールブックは重要である。ルールブックは従業員に求めることを形作り、責任事項を明記する。また、プロセスの設定や異議申し立てが公正に行われていることを従業員に説明する役割も担っている。
しかし、物事が滑り始めたときに重要なのはルール規定やルールへの順守レベルでもない。本当に重要なことは文化と価値観である。
経営者協会前理事のSimon Walkerは価値観をビジネスにおける「次世代フロンティア」と位置づけている。「それほど昔のことではない」とWalker氏は述べる。「企業がコアバリューを抱えるということが幻想として考えられていたのは。時代は変わっている。徹底した透明性を求める時代においては、価値観は成功する企業の基盤の一つであると理解されている」。
モルガンスタンレーはこれに同意する企業の一つである。「長期的かつ永続する成功は強い文化を持つことと、価値観に共鳴する才能ある従業員を抱えることである。」とCEOであるJames P Gorman氏は述べる。 その信条に基づいて行動している一つがPilotlightで我々と協力関係にあることだ。我々はパンデミックの年に社会的ニーズのフロントラインにある慈善団体とパートナーを組む手助けを行い、モルガンスタンレーの従業員が価値観について学ぶ手助けをしている。従業員の価値観を開発する方法はたくさんある。 Johnson & Johnsonは創業の「信条」をニュージャージー州の本社を含む世界中のオフィスの壁に刻んでいる。イングランド全土225店舗を展開する食品小売業者Midcounties Co-operativeは事業全体の業務を主導するべく、2019年にchief values officer (最高価値観責任者)を任命した。
事実、この問題に関しては選択の余地が無い。上場企業は現在、英国コーポレートガバナンスコードにより、企業文化を監視し、取締役会が企業価値に沿って行動しているかを確かめることが義務付けられている。企業価値の良い例としては、「誠実さ、責任感や忘れられがちな職場の成果」など古臭い一般的かつ抽象的なものではなく、ビジネスとして熱望する文化の唯一無二な要素を明記したものである必要がある。
ポジティブな文化の下では、起こり得る不正やいじめなどが繰り返し起こり、可視化され精査される前に、早い段階で対処される。行動するなら今である。悪い行動の反復パターンや毒性のある文化の特徴はない。
リモートワークの課題、安全な職場そして組織の変化により、HRディレクターが2020年のトップの座に就き今まで経験したことがないくらいの発言権を有している。この座にとどまるには緊張、ストレスリスクのあるこの時期に文化そして価値観におけるリーダーにならなければならない。
(D.S)