英国でもっとも有名な HRM サイトから興味深い記事をご紹介します。
Majority of employees want to work from home for most of the week, research finds
1 Sep 2020 By Jonathan Owen
世論調査によれば過半数の労働者がオフィス勤務を嫌がっているという。しかし、専門家は自宅勤務が標準的になるという提言は時期尚早であると述べる。新たな研究によれば従業員の大半が週の大半の自宅勤務を望んでおりこの数字はロックダウン開始以来6倍近くになっている。チューリッヒ保険によって4500人を対象にした調査によれば政府のオフィスベースの労働者の職場復帰要請にも関わらず、いまだに59%が週の大半の自宅勤務を望んでいるという。わずか10%の従業員がコロナパンデミック以前から同様の業務パターンを行っていたと回答した。
ーーー関連記事へのリンク(英語)ーーーーーーー
・政府は従業員の職場復帰にプレッシャーをかけないようにと忠告を行った
・なぜ従業員に職場復帰を強いることが馬鹿げているのか
・国民投票によれば世論の大半が自宅勤務続行を望んでいる
ーーー関連記事へのリンクここまでーーーーーーー
ボリスジョンソン首相が「可能であれば職場復帰を」と国民に訴えかけた7月以来、従業員は職場復帰をするというプレッシャーに晒されてきた。しかしながらオフィスに戻る従業員の数は過去2か月間横ばいで職場復帰の変化は見られない。Center for Cities の携帯電話追跡データ分析によると60以上の英国最大の町や都市部では6月末のロックダウン前の17%の人出であり、8月も同じレベルであった。また運輸省が開示したデータによれば英国内の推定列車発着数は通常時の33%であった。
労働マネジメントソリューションプロバイダーMitrefinchによるGoogle検索データ分析によると職場復帰に対する不安はロックダウン初期段階から急激に上昇し,英国では「職場復帰しなければいけないか」という検索ワードが4000%上昇し、「職場復帰不安」の検索が200%増加した。類似検索の「安全な職場」、「従業員健康と安全そして「健康と安全実践」も同様に倍増した」。研究結果に触発され、チューリッヒ保険はフレキシブルな働き方を提供し始めた。
チューリッヒUKのHRディレクタースティーブ・コリソンは 「どこでどのように従業員が働くべきかという問いに完璧な解決策はないものの、彼らが自分に合った時間に働きたいことを知っている」と述べる。
「従業員皆が永遠に週5日自宅勤務を望んでいるわけではない。実際には彼らは一番良いものを求めている。」
職場復帰への安全性に対する労働者の不安はごく自然なことであるようだ。
イギリスインペリアルカレッジ(MRCのCentre for Global Infectious Disease Analysis)の疫学者Neil Ferguson教授は昨日、近年Covid関連の入院が増加していることを警告し「職場復帰を早まることへの見直し」を再度考えるように政府および雇用者に要請した。
衛生安全委員会事務局は2人のCovid感染者が見つかった労働年金省リーズ支局が社会的距離の保持に失敗したと指摘した。これ以来、職場をCovid対策万全にすることの難しさが度々強調されてきた。しかしながら、リーズ大学HRM・労使関係学部Mark Stuart教授によれば自宅勤務が標準的になると提言するには時期尚早であるという。
「自宅勤務はある特定の産業、労働者にとっては行いやすいものである。しかし、すべての労働者が無期限に自宅勤務を望んでいるわけではない。孤立などワークライフバランスの観点で緊張を生むかもれない。また技術的な問題も生じかねない。」
同氏はさらに企業が「自宅勤務政策の設計に関して真剣に考える」必要があったと述べた。また、雇用研究機関のHRコンサルタント・リサーチディレクターのEd Griffin氏は働き方の変化から従業員同士の軋轢が生じるかもしれないと警告した。
「2つのタイプの労働者-職場にいることに憤りを感じるかもしれないが自分たちのキャリアを助長する人たちとコンタクトを取り、より良い機会を得ることができる人たちと、排除され、難しいと感じている人たちを考えることから始めると良い」。
(D.S)