英国でもっとも有名な HRM サイトから興味深い記事をご紹介します。
https://www.peoplemanagement.co.uk/voices/comment/the-importance-of-mentoring-through-a-crisis
People Management
The importance of mentoring through a crisis
9 Jun 2020 By Sonika Sharma
はじめに
パンデミック下におけるメンターシップの力は従業員の個人的なそしてプロフェッショナルとしての成長を手助けする上でこれまでないほどに重要となっている。
ユニリーバなどの多国籍企業は従業員のwell-being(幸福・健康な状態)を管理・補佐するためにいくつかのプログラムに着手してきた。これにより、アフターコロナに先駆け従業員ひとりひとりがその影響に立ち向かえるようにすることが出来る。従業員のワークライフバランスに大きな変化が見られ、相互に利益があるような関係性、メンティー(指導・助言を受ける者)・メンター(指導・助言を行う者)制度はこういった先行きの見えない状況下では最も価値のあるものである。以下がメンターとのリレーションに投資をすることがいかに重要であるかの理由である。
広い視野で物事を見る
現在、コロナウィルスに端を発するグローバルパンデミックに支配された世界にどのように適応していくべきか答えの出せる者はどこにもいないであろう。また、我々のワークライフバランスはとてつもなく大きな変化を迎えた。このような時期には何らかの支援がこの無理難題の解決には必要となる。メンターの経験やメンティーから新鮮な見解を得ることで救いの光を見出すことができるであろう。
相互の経験共有を通して、メンターは業務上の制約から一旦離れて部門全体に生のアドバイスを提供し、他の者がその過程で経験するであろう難題を予め取り上げることができるであろう。シニアメンターは従業員が経験する(もう既に経験しているかもしれないが)同じミスや課題を観察し、こういった経験を共有することでパートナーとしての信頼関係の感覚を与えることができるのだ。
同様にメンティーが経験を共有する際にはプロフェッショナルとしてそして個人としての感覚を養うことができるだろう。メンティー達自身が特定の状況に関する新鮮な見解を与えたり、いかにして・なぜ仕事に定着できないのかを理解したいと感じることができる。これらは自分の考えをメンターと共有することでよりシンプルにすることが可能になる。この重要な要素は我々の前に立ちはだかるストレスや難題をどのように観るかそしてwell-beingへの直接的な影響へと拡張する。本質的には自分自身をしっかりとケアしていればベストのパフォーマンスを行うことができ、バーンアウトのリスクを減らすことが出来るということである。
内省と改善の機会
我々は内省し改善を行う相互的な機会を当然のこととして捉え、時間がないことを理由にその作業を省きがちである。メンターシップはこの神聖な時間を提供する。
メンターにとっては振り返り、自身のキャリアや部門での学びについて考える時間となる。良い経験・悪い経験の過程を共有できるようになることでホリスティック(全身で)に自らのプロフェッショナルライフを語ることができるであろう。
メンティーにとっては同じプロフェッショナルとしてであるものの会社もしくはデイリーチームの一部としてではなく誰かに相談できることは個人のそしてプロフェッショナルとしての目標を内密に共有するためのゲートウェイとなる。
ジュニアレベルの従業員は正しく、もしくは間違って行ったこと、または少し別のやり方で行った仕事について周りに影響することなく議論をする際には懐疑的になりがちである。そのため、メンターシップはリモートワークを行う際でも振り返りを行うスペースを与え、相互的に利益となる経験を交換することが可能となる。
目的と意義
我々はもはや仕事のために仕事をするわけではない。むしろ何か深いものを求めているのである。電話もしくはビデオ通話上であってもメンターと定期に会話を行うことで落ち着きを与えることができる。メンターセッションは一見するとプロフェッショナルな面に特化しており常に気軽な会話である訳ではない。しかし、意識してお互いに個別の時間を共有することに時間を費やすことで健全な関係性を築くことができる。この関係性の進歩は両者(メンターとメンティー)が個人的にもプロフェッショナルとしても本来の目的を見つける手助けとなる。
メンターはメンティーのキャリアグラフに基づいてその部門において成長を促すことができる。究極的にはメンターはメンターシップのコースを通じて関係性を築いてきたことからメンティーを正しいネットワークに結びつけることができると言える。
しかしながら、個人的な目標というのはプロフェショナルな野心の中で反映されるということを理解していなければならない。デロイトの研究によれば、従業員はキャリアと個人の人生に関する野心をサポートする会社に対して満足感を示し、忠誠心を抱くということを明らかにしている。良きメンターとはメンティーの生活の全ての側面に理解を示している者である。こういった領域は厳格な境界線はもはやないのである。何が最も重要かそしてその理由を理解する手助けするという単純化された行為がメンターとメンティーの関係性を強固にする。
メンターシップの力は実に明快である。メンターを持つ従業員のパフォーマンスが上がり、キャリアアップを早く進めそしてワークライフ満足度を向上させる。メンターは自分自身そして自身の仕事に関して振り返る機会を得、メンティは彼らの経験からプラスになるものを吸収していく。メンターシップの利益は常に相互的なものであろう。良い関係性を通じて両者は経験を共有し、wellbeing を監視下に置くことが可能になる。学習、自己発見の旅は終わることはなく、この状況を鑑みればメンターシップの力は小さいながらも大きなステップであろう。
(D.S)