こんにちは。コンサルティング&ソリューション事業部の田中です。弊社では、イギリスのICS Learn社と提携し、CIPD資格付与コースのお取り扱いをしています。2022年7月より、私自身、Level5のコースの受講を開始しました。CIPD体験記をできる限りリアルタイムで書いています。CIPDにご興味がある方、詳しく知りたい方、Linkedinからお気軽にメッセージをください!
今回は、人事の役割の変化とCPD Cycleについてお伝えします。
人事の役割の変化
Dave Ulrich (1998)は、企業は5つの経営課題に直面していると述べました。5つの課題とは、グローバリゼーション(Globalization)、成長を通じた利益(profitability through growth)、テクノロジー(technology)、知的資本(intellectual capital)、変化(change, change, and more change)です。Dave Ulrichは組織こそが唯一の武器であり、HRは戦略実行のパートナーとなるべきだと主張しました。
・HRM講義「いまさら聞けないUlrich Model(前編)」~Voice!for HRM Vol.12~
・HRM講義「いまさら聞けないUlrich Model(後編)」~Voice!for HRM Vol.13~
イギリスのソフトウェアカンパニーであるSageは「The changing face of HR」というタイトルのレポートをリリースしました。そのレポートには人材の専門家(People Professionals:以下PP)が面している課題と、新しいテクノロジーとトレンドにより引き起こされる変化が示されています。
Sageのレポートによると、1980年代にpersonnelがHRへと進化したように、HRは人に関する機能へと進化しています。 HRリーダーの94%がHRからpeopleへの変化を予期しており、47%がこの変化は重要だと述べています。この変化のドライバーは、デジタルテクノロジー、ギグエコノミー、人材獲得競争、従業員経験、競争上の優位性、オペレーショナルエクセレンスです。(Sage, 2020)
(参考)
オペレーショナルエクセレンスとは、企業がその価値創造のための事業活動の効果・効率を高めることで競争上の優位性を構築し、徹底的に磨き上げることです。(グロービス大学院、2023)
伝統的なHR部門は主に雇用、給与計算、トレーニングおよび個人情報の記録に責任を負っていました。今日のビジネス環境においては、PPは、タレントマネジメント、組織開発、労働関連法の遵守、ビジネス戦略の立案等、より広い範囲のタスクに対処する必要があります。
この変化に適応するために、PPは自身とチームメンバーの能力を開発する必要があります。(Sage, 2020)PPは未来を予測し未来志向のスキルセットを身に付ける必要があります。Sageのレポートによると、HRリーダーの86%が今後3年間で自身のチームのスキルギャップに対応する必要があると答えました。また、Sageのレポートは、今後3年間で最も重要な4つのスキルを明らかにしました。それは、コミュニケーション、ピープルアナリティクス、創造性、テクノロジーへの精通です。しかしながら、テクノロジーに精通していると回答したHRリーダーは25%に過ぎず、専門家としての創造性を身に付けていると回答したHRリーダーは28%に過ぎませんでした。また、ピープルアナリティクスのスキルが専門家レベルであると回答したHRリーダーは28%しかいませんでした。(Sage, 2020)
・ピープルアナリティクス概論 ~Voice!for HRM Vol.8 ~
・ピープルアナリティクス概論 ピープルアナリティクスのポイント ~Voice!for HRM Vol.9 ~
PPは自身の能力を開発することにより、このギャップを埋める必要があります。ギャップを埋めるために、CPD Cycleを使うと効果的です。
CPD Cycleとは・・?
CPDとはContinuing professional Developingの略で、専門的な能力を継続的に開発することを意味します。CIPDでは、CPDを7つのプロセスに分け、CPD Cycleとして定義しています。
①Identify:認識する
まずは、現在の自身の状況を認識することから始めましょう!
これまでのキャリア、現在の状況、これからどうしたいかを棚卸しましょう。
②Plan:計画する
①の内容を踏まえ、これからの学習プランを立てましょう!
自社で実施している能力開発プログラムや年次レビュー等があれば、それに合わせて計画を立てるのも良いでしょう。
③Act:行動する
計画に基づいて学習を進めましょう!
④Reflect:振り返る
学習の振り返りを行い、何を学んだか、それが日々の業務にどのように影響するのかを考えましょう!
⑤Apply:適用する
学習したことをどのように仕事に活かすのかを考え、実際に適用してみましょう!
例えば新しいプロジェクトを開始したり、新しい課題に挑戦してみたり、一緒に働いている人からのフィードバックを得ることも有効です。
⑥Share:共有する
学習したことを共有しましょう!
オンライン・オフラインに関わらず、学んだことを、所属しているコミュニティで共有することは、気づきを得ることにつながります。
⑦Impact:測定する
効果測定をしましょう!
学習したことをどのように業務に適用したか、その結果どのような影響がもたらされたかを考えてみましょう!
そしてその効果を最大化するためにはどうしたらよいか、考えてみましょう!
各フェーズで次のようなことを考えながら、CPD Cycleを回しましょう!
・何を学んだか?
・学習成果を達成できたか?
・どのような予想外の結果や課題が生じたか?
・障壁を克服する必要があったか?
・学習したことを職場でどのように実践したか?
・学習したことが組織にどのような影響を与えたか?(可能であれば、具体的な測定値)
・この経験からどのような教訓を得ることができたか?
学んだことの全てを職場で利用する機会があるとは限らないため、全ての学習において上記の質問への答えを出すことは難しいかもしれません。学習したことを踏まえて何かを実行すること、そしてそのアクションが適切だったかどうかを振り返ることがとても重要です。
CPD Cycleの管理
CIPD MemberのみがアクセスできるCIPD Learning Hubにアクセスすると、下記のコンテンツが利用可能になります。
・学習コンテンツ
・Profession Mapに基づく自己評価ツール
・学習計画ツール
・学習履歴の管理
・CPDの振り返りの記録
メンバーのみ閲覧可能な学習コンテンツが見られるようになるだけではなく、学習の計画を立てたり、学習の履歴とCPDの振り返りの記録もできるようになっています。このようなツールを活用することにより、学習の履歴と自身の振り返りを残しながら、継続して能力を開発していくことができます。
ビジネス書:「7つの習慣」の著者として有名な、スティーブン・R・コビー氏は、次のように述べています。
To learn and not to do is really not to learn. To know and not to do is really not to know.’
Stephen R. Covey
CIPDでは、学習したことのアウトプットや結果に重点を置いています。
学んだことを実践し、継続的にスキルアップしていきましょう!
本記事は、CIPD Level5のモジュールの1つであるProfessional bahaviours and valuing peopleの課題への回答を交えながら、2023/7にリライトしたものです。
AC3.1 Explore how the role of a people professional (either a generalist or a particular specialist) is evolving and the priorities this raises for continuing professional development (CPD)
CIPD (2023). About CPD
https://www.cipd.org/en/learning/cpd/about/
2023/7/19 閲覧
CIPD (2023). The CPD Cycle
https://www.cipd.org/en/learning/cpd/cycle/
2023/7/19 閲覧
Dave Ulrich. A New Mandate for Human Resources
https://hbr.org/1998/01/a-new-mandate-for-human-resources
2023/7/19 閲覧
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グロービス大学院. オペレーショナルエクセレンス
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11736.html
2023/7/19 閲覧
今回の記事で参照したSageのレポートは2023/7/19現在、ダウンロードできませんでした。
最新版「The changing face of HR 2024」は、こちらからダウンロード可能です。2023/7/19閲覧
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