【RPA基礎知識】導入メリット


本コラムではRPAの具体的なメリットについて言及していきたいと思います。

【目次】
 
◆「コスト削減」効果と「売上向上」効果
 ◆数値として表れにくい「売上向上」効果の重要性
◆「目に見えにくい効果」の代表例
◆「目に見えにくい効果」の測定方法

◆ 「コスト削減」効果と「売上向上」効果

・1年で約400時間の残業時間の削減
・40分かかっていた作業が6分で終わるようになった

様々なRPAに関する記事やホームページの宣伝などで同じような文言がよく使われています。

RPAを導入しようと考えられている企業様の多くがこういったコスト削減による業務効率化を目指そうとされているかと思いますが、社員のITスキルの向上、意識改革(マインドセット)や組織改革などの売上向上効果による業務効率化もRPA導入のメリットです。

売上向上効果は残業代や作業時間の削減のように、数値として表すことが難しく、導入効果を測る指標としてはなかなか取り扱われることがありませんが、RPA導入において非常に重要な要素です。

本コラムではこのような数値としては表れにくい売上向上効果のメリットの重要性について言及していきたいと思います。

◆数値として表れにくい「売上向上」効果の重要性

①導入初期の効果を測る大事な指標になる

RPAは、業務を自動で行うソフトウェアロボットを作成しなければいけません。
そのため、ロボ作成方法の学習やロボ作成作業などの時間と手間がかかります。
一方、多くの企業様が目指される残業代削減などのコスト削減効果は多くのロボを完成させ、複数の業務を自動化した後でないと大きな数値として現れないため、導入初期は導入によって増えたコストや手間の方がコスト削減効果を上回ってしまいやすく、RPA導入は効果がないと誤った評価をされ、導入を断念されるケースがあります。
  
しかし、従業員のITスキルの向上や組織改革といった数値として表れにくい売上向上につながるメリットは稼働しているロボが少ない時でも徐々に発生するため、導入初期にRPAの効果を測る重要な指標になります

②これからのビジネスへの準備につながる

現在、ITの進歩と労働力人口減少などに伴う社会情勢の変化に伴い、働き方そのものが大きく変わろうとしています
また、昨今の新型コロナウイルスの流行によって、働き方の変化は加速していくと考えられます。

RPAの導入に伴う数値としては表れにくいメリットはITの進歩に遅れないためのIT知識の促進につながるだけでなく、昔ながらの常識にとらわれないこれからの時代にあった組織作りや社員の意識改革(マインドセット)につながるという期待もできます。

◆「目に見えにくい効果」の代表例

RPA導入において数値として表れにくいメリットというのは以下のようなものがあります。
これらはロボ作成方法を学習している時や、実際に稼働しているロボの少ない導入初期であっても発生し、業務効率化につながります。

・IT知識の向上
RPAのロボ作成方法の学習は、効率的なPCの操作(ショートカットキー)の学習や、プログラミングの基礎となるアルゴリズム(条件分岐、繰り返しなど)の学習につながるため、社員のIT知識の向上につながります。
 
・業務の「属人化」防止
属人化とは、「担当者しか業務の詳細がわからない」という状態です。つまり、その担当者が退職したり、産休、育休により長期休暇を取ってしまったりするとその業務が回らなくなったり、引継ぎに時間がかかったりします。
RPAでロボを作成するときには、業務のやり方を1から洗い出すところから始まるので、業務の属人化を改善することができます。

・従業員のやる気向上
同じような業務を繰り返す事務作業というのは退屈でつまらないと感じる方が多いと思います。そういった業務をRPAは自動化してくれるので、従業員のやる気向上につながります。
また、RPAの効果を従業員が理解すれば、RPA導入に積極的に協力してくれるようになるため、運用が促進されます。

・利益につながる業務への代替
生産性のない事務作業をRPAが代行してくれるということは、その分空いた時間を人間にしかできない生産性の高い業務にあてることができるということです。
残業時間の削減など大きな数値の変化として現れなくとも事務作業の代行による生産性の向上効果は必ず生じています。

・社員の意識改革(マインドセット)と組織風土の改革
上記のような数値に表れにくい効果を最初に実感するのは現場の従業員の方々です。 RPAの導入企業様の中には、RPA導入によって実際に業務が改善されることを従業員が理解したことによって、何か新しいツールやシステムを導入する際に積極的に協力し、変化を受け入れる従業員教育や組織作りにもなったというケースもあります。

◆「目に見えにくい効果」の測定方法

上記のような組織の変化や従業員のスキル向上に関する効果は数値としては表れにくいため測定方法に悩まれる場合があると思います。
例えば、従業員へRPAの導入前後で働き方や自身のスキルについてのアンケートを実施するなどすれば測定可能かと思われます。
また、アンケートのような特別なことを実施しなくても日々の社員間でのコミュニケーションの中でRPAの効果を意識して聞くようにするだけで 本当にRPA導入の効果が出ているのかを調査できるだけでなく、運用方法の改善や拡大のヒントをつかむきっかけにもなる
と思います。

本コラムのまとめ

本コラムでは、RPAの具体的なメリットについて解説いたしました。

RPAで多くの企業様が目指される残業代削減をはじめとしたコスト削減効果は長期運用を経て多くの業務をロボで自動化した後でなければ発生しません。そのため、導入初期は、数値として表れにくい売上向上につながる効果が導入効果を測る重要な指標になります。

また、数値として表れにくいRPAのメリットの多くはITの進歩や社会情勢の変化に伴うこれからの時代に対応できる組織作りにつながります

ぜひRPA導入をご検討される際にはコスト削減効果ばかりではなく、数値としては表れにくい効果にも注目してみてください。

次回のRPAコラムではメリットとは逆にRPAのデメリットについて言及させていただきます。
本コラムをご覧いただき、ありがとうございました。

最後に

コラムの投稿者 株式会社エス・エス・ケイ・コミュニケイションズのRPAソリューションやその他コラムに興味がある方はこちらからご覧ください。