今回も前回に続き、交付金の使用時についてです。
交付金の使用時は収益化しますが、収益化には3パターンあります。
・業務達成基準(原則)
・期間進行基準(管理部門のみ)
・費用進行基準(業務と交付金の対応関係が明確でない場合のみ)
今回は期間進行基準と費用進行基準について書いていきます。
まずは期間進行基準について。
名前から想像がつくかもしれませんが、一定期間の経過を業務の進行とみなして収益化します。つまり、1事業年度が終了したら、管理部門に充てていた 運営費交付金 の予算全額を収益化する、ということですね。費用が予算を上回っていようと、下回っていようと関係なく予算全額を収益化します。簡単!!
ちなみに、これは管理部門のみ適用されます。
仮に主要業務に期間進行基準を適用すると、業務が完了していなくても事業年度が終了したから、という理由で収益化出来てしまうんですよね…。期待されている業務活動を行わずに勝手に収益化してしまうというのは、国や国民に説明が付きません。
対して、管理部門は法人の業務全般のサポート的立場であり、主要業務の区切り関係なく継続的に続けていく部門のため、一定期間の経過を業務の進行とみなしてもおかしくありませんよね。
次は費用進行基準について。
こちらも採用するには条件がありまして、『業務と運営費交付金との対応関係が示されない場合に限り、運営費交付金債務は、支出額を限度として収益化することを認める。』と独法会計基準の注解61に記載されています。
同会計基準に『例えば、期中に震災対応のための突発的な業務が複数発生したが、当面各業務の予算、期間等を見積もることができないなど』と具体例も記載されています。
中期計画で予定していた業務では費用進行基準は適用出来ないということでしょうね。突発的に発生した業務で交付金との対応関係を明確に出来ない場合は、業務達成基準ではなく費用進行基準を採用することになります。
ちなみに、採用する場合は注記で採用理由について記載する必要があるようです。
費用進行基準の収益化は、支出額を限度として行います。期間進行基準では費用額関係なく予算全額を収益化していましたが、費用進行基準は費用額までなら収益化してもいいよ、ということですね。費用額と同額を収益化すれば損益をゼロにすることが出来ます。
そもそも、突発的業務なので予算はなく、費用額を基準に収益額を決めるというのも違和感ない方法かなと思います。