運営費交付金 とは、国から交付されるお金のことです。国から受け取る財源には数種類ありますが、その中でも運営費交付金は独立行政法人(以下、独法)が業務を運営していくうえで必要となるお金です。
独法は収益の獲得を目的とはしていないですからね。総務省のHPに掲載されていた「独立行政法人の財務報告に関する基本的な指針」には下記のような記載がありました。
>独立行政法人は、公共性の高い事務・事業のうち、国が自ら主体となって直接実施する必要はないが、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効果的かつ効率的に行わせる法人として制度設計されている。
(出典:独立行政法人の財務報告に関する基本的な指針 p.5)
公共性の高い事務、事業を行っているため収益の確保が難しい場合があります。でも、お金が無ければ業務をこなしていくことが出来ません。そこで、国から運営費交付金を受け取り、それを財源として活動している訳ですね。
では、そんな運営費交付金を受け取るとどんな会計処理になるのでしょうか?自分で獲得した収入ではないですが、損益計算書上で収益として計上しても良いのでしょうか?気になりますね。
という訳で、次は運営費交付金の会計処理について書いていきます。
会計処理を行うタイミングは大きく分けて4つに分かれます。
①交付金の受領時
②交付金の使用時
③中期計画期間満了時
④実施済み業務に対して補填するために交付された時
今回は概要ということで、簡単に各項目について説明すると、
①交付金の受領時
→負債として計上します。いきなり収益とはしません。前受収益のようなものだと考えれば分かり易いかと思います。実際に使うまでは預かっているお金ということで負債に計上します。
②交付金の使用時
→収益または負債または純資産に計上します。実は、「交付金の使用時」と一言で言っても様々なパターンがあります。費用に充てたのか、固定資産の取得に充てたのか、などなど。この辺りの細かいパターンごとの会計処理ついては後日、説明します。
③中期計画期間満了時
→独法は中期計画単位で業務を担っています。運営費交付金も中期計画単位で国から交付されています。そのため、中期計画満了時に交付金の残高がある場合は一旦収益化し、純資産の「積立金」へ計上されます。その後、余ったお金は国へ返すか、次期に繰越すかを検討します。
④実施済み業務に対して補填するための交付金の受領時
→収益として計上します。①と異なりますね。①はまだ使用前なので負債として計上していましたが、④の条件下では既に使用後なので負債を経由せずに全額を収益に計上します。
となります。