※注意※
当記事は個人的解釈を含みます。
実際の運用にあたっては担当の税理士や所轄税務署へ必ずご確認ください。

2回目の【電子帳簿保存法】のお話です。
※1回目の内容は【電子帳簿保存法はシステム導入が必須ではない件について】をご覧ください。

はじめに

今回は令和5年度の電子帳簿保存法の改正についてお話します。

とは言っても各所で改正内容については細かく説明・紹介されているかと思いますので、この記事ではざっくりとした改正内容と、私が思う改正意図(完全な主観)となります。

まず大事なことですが、
1回目の電子帳簿保存法のお話でもお伝えしましたが、
今回のトピックだけですと不完全燃焼となります。

前回の電子帳簿保存法でも、
「電子帳簿保存法はいわば例外・補足規定なので、大元の税法触れないと片手落ちだよー」
と記載したように、
今回も令和5年度の改正内容だけ見ても理解が中途半端になってしまいますので、是非前回の記事をご覧の上で読み進めてもらえると幸いです!

では早速本題へ・・・。

改正内容のポイントは3つ

今回の令和5年度改正内容のポイントは下記3つとなります。

①「優良な電子帳簿」の範囲明確化
②「スキャナ保存」の要件緩和
③「電子取引の保存要件」の見直し

まず抑えたいこととしては、
現在すでに電子帳簿保存法(令和4年時点)に対応できているのであれば、
今回の改正を気にする必要はありません。

今回の改正は、
「今まで70点合格だったボーダーラインを60点に下げました」
です。

ですので、わざわざ70点以上取れているのにわざと点数を下げる必要はありません。
※点数が高いほどよりDX化・効率化が進んでいるはずですし…

ではそれぞれのポイントを見ていきましょう。

①「優良な電子帳簿」の範囲明確化

「優良な電子帳簿」である場合には、ペナルティ小さくなったりするメリットがすでにありますが、「優良な電子帳簿」の対象になる”帳簿”って具体的に何よ?が明示されました。
 1.仕訳帳
 2.総勘定元帳
 3.補助簿
  ⇒手形、売掛金等債権、買掛金等債務、有価証券、減価償却資産(固定資産台帳等)、繰延資産、売上等の収入、仕入れ・経費等の支出

②「スキャナ保存」の要件緩和

スキャナ保存したデータと元の紙書類の同一性を担保したいけど、ここまで厳しくなくても大丈夫かな。
という緩和です。
具体的には、
 ・解像度、階調情報はいらない
 ・大きさはいらない
 ・入力者等の情報の確認要件なくす
 ・帳簿との関連性は一般書類ならいらない
となります。

③「電子取引の保存要件」の見直し

電子保存頑張ってるけど無理そう(間に合わなそう)なら紙でも許してあげる。です。
ではどういう状況ならこれに当てはまるかといいますと、
 ・無理な理由を税務署長に認められること
 ・電子保存要件は満たしてないけど、電子データを出そうと思えば出せること
 ・紙での保存(運用)なら今まで通りバッチリなこと
の全てを満たす必要があります。

制度的にしょうがないですが、
紙より楽なので電子にしようっていう電子帳簿保存法の存在を考えると、
紙でできてるのになんでダメなんだ!っていう理由もわからなくはないですけどね。

上記のより詳細内容、正確な内容については、下記国税庁ページの
電子帳簿保存法一問一答(Q&A)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~
をご覧ください。

<おわりに>

今回は令和5年度の電子帳簿保存法の改正についてお話しました。
今回の改正は冒頭でもお話したように、
「夏休みの絵日記の宿題を始業式に出せない子のために、毎日分じゃなくて2日置きの絵日記でいいよ」
としてくれたようなものです。

宿題を出さなくてよくなったわけではありませんし、
宿題をすることで将来の役に立つことは皆さん人生で経験してきたかと思います。

前回の記事でも書きましたが、電子帳簿保存法の対応そのものの趣旨は、業務効率化、負荷軽減を目的にしているわけですので、やらされている感ではなく、いい機会なので効率化の検討などポジティブに対応を進めましょう!

弊社会計グループでは、色々な会計システム/サービスの販売・導入を行っていますが、それはあくまで目的を達成するための手段(ツール)と考えています。

ですので、目的(業務効率化等)を達成するにあたって、既存のシステム/サービスを継続利用し、活用するという提案も行っています。

今後も皆さんのお役に立てるような記事を書いていきますので、
ぜひこれからもご覧ください!

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