私たちは普段、会計システムの導入や保守、運用相談などを行っています。
会計システムの導入となるとかなり時間もお金もかかる作業ですので、この機会に色んな業務改善や効率化を図りたい、と考えるお客様も少なくありません。
また、せっかくお金をかけて導入した会計システムなので、私たちもできる限り使いこなしていただきたいと思っています。
今回は一例として、
会計システムから経営会議 用の資料を簡単に作成するには、
というテーマで書いていきます。
経営会議 用の資料、と言っても企業によってどのような角度で分析を行っているのか違ってきます。
「前月や前年比較をしたい」や、「資金繰りの確認をしたい」、などなど。目的によって用意するデータも異なりますので、まずはゴールの確認をしましょう。
ゴールが確認出来たら、「そのデータは全て会計システム上で確認できるか?」ということを考えます。
システム的な話でしたら会計システムに詳しいシステムベンダーに確認するのが手っ取り早いですが、「使い方次第」ということもあり得ます。
当然ながら、投入していないデータは出しようがないからですね。
会計システムに「どの粒度で」、「どのような手段で」データを投入するべきかは非常に悩ましい問題なのです。
例えば製品別の損益計算書を出力したい、という場合、会計システムには当然売上や費用科目全てに「どの製品に関係するものか」という情報を紐づけておくことが必要になってきます。
複数の製品にまたがる費用の場合は配賦基準を定め、製品ごとに配賦を行う必要がありますね。
他にも、販売数量や地域など、分析に使いたい情報はたくさんあります。
ではまず、これらの情報を会計システムで管理することはできるでしょうか?
これもまた、「システムによる」、「使い方による」としか言いようがありません。
今回は例として、①製品カテゴリ ②販売数量 という2つの情報について考えていきましょう。
日々の売上の仕訳を計上するときに、その売り上げがどの製品カテゴリのものであるのかを紐づける項目はあるでしょうか。
伝票摘要に入力するだけだと、データ出力時の抽出項目にできない会計システムもあります。また、毎回手入力だと大変ですし、誤字や表記ゆれがあると違う製品カテゴリ扱いされてしまいますよね。
「文房具」と「ブンボウグ」が同じカテゴリであると会計システムに判断してもらうのはちょっと難しいです。
では、マスタ化できる項目を利用しましょう。
会計システムによって仕訳起票時に利用できるマスタの数は異なります。科目の下位階層として、「補助科目」という管理項目を作れる会計システムも多いですが、これだと当初の目的を果たすためには不十分です。
補助科目単位で損益計算書が出力できたとして、「じゃあ文房具の利益はいくら?」となったら、手計算するしかないからです。
弊社が導入を行っているSuperStreamNXだと、「機能コード」や「プロジェクトコード」という管理項目があり、科目を横断して使用することができます。
もちろん、これ以外の会計システムであっても、様々な運用方法が考えられます。
大切なことは、「製品カテゴリを意味する項目」として利用できる項目があるか。その項目を「製品カテゴリ」として使った場合、他に影響がないか、です。
例えば「部門」を製品カテゴリとして利用したとして、それでどの拠点の仕訳だったのか分からなくなったら本末転倒ですよね。
続いて金額ではなく、数量の管理についてです。こちらはもう少しご利用の会計システムによる部分が大きい項目です。
経理経験のある方ですと、会計システムに数量・・・?となったかもしれません。
会計では物事を金額で測りますので、単位が「個」や「台」、「人」になることはあり得ませんね。当然、損益計算書や貸借対照表にも金額以外の情報は含まれません。
単純に「販売数量」という科目を作って「10,000」などと入力してしまうと大変なことになります。
そこで、「管理会計科目」という項目が登場します。
会計帳票上には反映されない科目でありながら、仕訳、もしくは残高登録のような形で会計システム上で金額以外の項目を管理することのできる機能です。
こういった機能があるかは会計システムによります。お使いの会計システムの機能を一度確認してみてください。
これで起票すべき伝票の粒度が決まりました。
では早速運用です。
「売上を起票するときは、「科目」と「部門」、「製品コード」を入力して、これを製品の数だけ起票しないと・・・。」
「拠点も分けないといけないから、「製品の数×拠点の数」分の明細を頑張って入力しよう。」
「費用も全部製品ごとに金額を計算して・・・。」
「後は、毎月の販売数量データの入力も!」
どうでしょう。できそうですか?
難しいと思います。頑張ればできてしまうかもしれませんが、果たして頑張るだけのメリットがあるでしょうか?
会計システムへの入力粒度を細かくしすぎた結果、経営会議用の資料はワンボタンで出力できるようになったかもしれませんが、業務負荷自体はExcelを突き合せていた今までと変わらない、ということなら意味がありません。
ではどうするか。これも、沢山の案があります。
まず一つ、半分あきらめる、です。
別にワンボタンで全て出力できる必要はありません。手間が増えすぎないギリギリを見極めて、あとは潔く会計システムから出力したデータを加工しましょう。
今まで1時間かかっていた作業が30分で済んだなら、立派な業務改善です。会計システムの帳票機能を利用することで視認性が向上したり、多角的な帳票出力ができるようになったのであれば、尚更良いですね。
それ以外の例としては、データがあるところから持ってくる、です。
販売管理システムや購買管理システム、在庫管理システム、などなど。システムではなくExcelやAccess管理をしている、という場合でも構いません。
その段階では、「製品カテゴリ」別のデータがあるのではないでしょうか。販売数量データが確認できるのではないでしょうか。
こういったシステムと会計システムとの連携をすでに構築されている、というケースも多いです。
会計システムとのCSVファイルなどを介した仕訳の連携が行えると多重入力を抑止でき、効率的ですね。
ですが、これもまたお使いのシステムによっては会計連携機能が無かったり、会計システム側が対応していなかったり、上手く連携できないケースもあります。
だからと言ってどうしようもない、ということもありません。RPAツールや、その他個別ツールの利用などで解決することもあります。
今回は簡単に、会計システムから経営会議用の資料を簡単に作成するために考えるべきことを並べてみました。
お使いの会計システムや出力したい内容によってはこれ以上に検討することが増えてきます。
弊社では会計システムの導入のほか、既に導入した会計システムに関する運用相談を受け付けております。
会計システムでやってみたいことがある、業務改善ができないか聞いてみたい、などお気軽にお問い合わせください。