中小企業における人手不足対応のための5つのステップ ~30人の会社のテレワーク Vol.72~

厚生労働省が2022/4/26に発表した、2022/3の有効求人倍率は1.22。求職者1人に対する求人は1を超え、企業にとっては、人の採用が難しくなっていると言えます。

中小企業庁が、2020年に「中小企業・小規模事業者 人手不足対応ガイドライン」を出しています。今回は、このガイドラインの内容から中小企業における人手不足対応のための5つのステップをご紹介します。

ステップ1:経営課題を見つめ直す

将来どのような会社にしていきたいのか。
今満たそうとしている求人は本当に必要なものか。
その求人を満たすことは自社が勝ち残ることにつながるのか。
人手不足という現象から一旦視点を広げ、経営課題を見つめ直すことが取組の大事な一歩である。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/2020/200522hitodebusoku_guideline.pdf

ガイドラインによると、人手不足は大きく2つに分かれるとされています。

1)退職や離職等による欠員=事業を継続するために体制維持が必要なケース
→現在の事業を同じ規模で続けるかどうか、改めて考えてみましょう。

2)事業拡大に伴う人材不足=事業を拡大するために体制強化が必要なケース
→経営理念や事業戦略を見つめ直し、人材戦略を考えてみましょう。

人手不足以外の経営課題にも目を向け、自社の経営理念、事業戦略や将来のビジョンをもう一度見つめ直してみましょう。
経営課題を合理的に整理することにより、取り組むべき経営課題が明確になります。

ステップ2:経営課題を解決するための方策を検討する

限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報・時間)をどう「やりくり」して、経営課題を解決するかを考えることが必要となる。
その前にまず、課題解決に必要な業務を、固定観念を払しょくして見つめ直すことが肝要である。
取り組むべき経営課題が複数ある場合には、対応の優先順位付けを行うことも必要である。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/2020/200522hitodebusoku_guideline.pdf

「この仕事は力がいるから男性!」「フルタイムで働かなければダメだ!」などの固定観念を取り払って、業務を見つめ直してみましょう。また、業務のどこにムリ(設備や人への過負担)、ムダ(非効率・過剰な要素)、ムラ(仕事量・負荷のばらつき)があるのかを考え、作業工程の改善や不要な業務の廃止を行うことにより、人手不足を解消できる可能性も出てきます。

人手不足の解決策として、外注(外部への委託)やIT・ロボット等の設備の導入(機械化)も考えられます。

人材以外の選択肢を検討した上で、「人で対応する」という方向性が決まったら、ステップ3に進みます。

ステップ3:求人像や人材の調達方法を明確化する

経営課題の解決を人で行うと決めたら、業務に対する求人増を明確にし、どのようにして人材を確保するか、その調達方法を検討する。
必ずしも外部から確保する必要はなく、社内の人材の登用で対応できる場合もある。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/2020/200522hitodebusoku_guideline.pdf

人手の確保にあたり、その人に任せる仕事を明確にしましょう。その業務を担うためにどのような人材が必要か、求人条件や具体的な業務内容(ミッション)等を明確にすることが必要です。職務定義書(ジョブディスクリプション)を作成することも有効です。

合わせて、求人を行う際に、無意識のうちにバイアスをかけていないか、確認をしましょう。「この業務は未経験者にはできない」「この業務は男性しかできない」など、これまでの慣行や前任者の印象によって、求人の幅を狭めていることがあります。フルタイムの正社員にこだわらず、時短・副業・兼業人材の受け入れも検討することにより、優秀な人材を確保できることもあります。

また、必ずしも外部から人材を調達する必要はなく、社内公募を実施し、社内人材の登用・育成を行う案も考えられます。

ステップ4:求人・採用/登用・育成(人材に関する取組の実施)

必要な人材を調達するため、求人・採用を行う際には、働き手の目線に立って自社の魅力を発信することが重要である。
求人像のターゲットが誰かによって、訴求ポイントや適した発信方法も異なってくる。
一方、内部調達の際は、多能工化やジョブローテーションを含む人材育成計画の実施、人事評価制度や処遇制度の見直しなど、人材の登用・育成の取組を行うことが重要である。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/2020/200522hitodebusoku_guideline.pdf

働き手に自社の魅力を伝えるために、求職者に訴求するポイントと発信方法を考えます。自社が採用したい人材に合わせた訴求ポイント、採用媒体、メッセージを考えましょう。

社内人材の育成に当たって、人事評価制度や処遇制度を見直すことも重要です。

ステップ5:人材の活躍や定着に向けたフォローアップ

人材を確保できても、採用・育成した人材が定着しなければ、再び人手不足に陥る。
そのため、採用・育成した人材が活躍し、働き続けられるよう、働く側の目線に立って、フォローアップ体制の構築や能力開発、職場環境の見直し等に取り組むことが必要である。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/2020/200522hitodebusoku_guideline.pdf

新卒入社/中途入社に関わらず、入社後に活躍できるようにフォローすることはとても重要です。知識の習得だけではなく、従業員同士のコミュニケーションの場を作る、人材の受入に対して既存社員の理解を促すなど、採用した従業員が定着するような取組を行いましょう。

職場環境の改善、柔軟な働き方ができる制度設計など、働き手が能力を発揮しやすい職場環境を追求することが人材の定着につながります。


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